印象派の画家、クロード・モネといえば、「睡蓮」ですね。
川上裕さんは、高知県北川村にある「モネの庭」の管理庭師をしています。
『北川村「モネの庭」マルモッタン』はフランスのモネ財団から、世界で唯一モネの名を冠することを許可された庭園です。
「モネに雇われた庭師のつもりで仕事をしている」という川上さん。
9月26日の「情熱大陸」に出演されます。川上さんの庭師になるまでの経歴などを調査してみました。


経歴
川上裕さんは、高知県香美市出身です。小さい頃から植物が好きで5歳の頃には、自分の庭を持っていたそうです。
農家を継ごうと思っていたが、両親から安定した仕事に就いた方がいいといわれて、大学受験するが3度失敗。銀行員になりました。
植物への想いは断ち切れず、30歳でサラリーマンを退職して、造園業者に弟子入り。12年かけて設計や施工をみっちり身につけていきました。
樹木だけでなく、花を扱いたいという想いで2003年に「モネの庭」の造園責任者に就任してからは毎年のようにフランスに出かけ、モネの庭の現地スタッフに指導を仰ぎました。
フランスのモネの庭と常に交流を深めながら、精神を受け継いだ庭作りを進めています。
北川村の「モネの庭」には、モネが生涯咲かせたいと願いながら、ジヴェルニーの気候が適さず叶わなかった熱帯性の「青い睡蓮」を見られるのは高知ならではです。
2008年にジルベールヴァエ氏の協力のもとに「光の庭」を作庭。
その技術の高さが評価されて、2015年に、芸術や文化で卓越した功績を認められた人に贈る芸術文化勲章「シュヴァリエ」を受賞しました。
ボルディゲラ
スタッフの方からも、「われらがシュヴァリエ」「”ムッシュ・ヒゲ・川上”」と慕われている川上さんは現在59歳。
そして、20周年を迎える「モネの庭」モルマッタン。
昨年、従来の「光の庭」を「ボルディゲラの庭」としてリニューアルオープンされました。
モネが43歳の時に、ルノワールと旅した地中海の土地で、美しい空と海、そして光にあふれた地中海の風景はモネの人生後半の画風に影響を与えたそうです。
モネはこの風景を「桃源郷」だと喩えて再び訪れ、30点近くの作品を書き上げたといわれています。
川上さんは、モネに雇われた庭師として、モネのために、ボルディゲラを創ったんですね。
フランスにはない日本の「モネの庭」のオリジナルの庭です。
モネの庭のスタッフがまず、実際にボルディゲラを視察。
モネが描いた地中海の風景画をもとにして、高知の風土を活かすように工夫しているそうです。
造園技法の「借景」を応用して遠くの風景(海や山)が庭に馴染むように設計されました。
ヤシの木は、廃校になった小学校や北川村の周辺地域から集められました。
地中海を想像させる石畳や石垣は手作業で造られているそうです!
石の隙間の植物も庭師さんの手で植えられているとか!細部にまで手間暇かけてますね。
樹齢300年のオリーブの木や、レモンも植えられてます。
丘にある「リヴィエラの小屋」から見える風景は「モネの作品を再現」された風景になっているそうです。
モネと同じものを観ている感覚になれますね!
アンジュルムの川村文乃さんもInstagramで紹介しています。
庭の維持
池に浮かぶ睡蓮、木立の間から差し込む光、水面に映りこむ木々の植栽、ナチュラルさを感じるような花の色合いと配置。
勉強を重ねながら、土木関係の技術者にもお願いしたり、スタッフの人達とともに管理しています。
そして、当然ながら毎年ヴァエ氏の視察があります。
庭の状態が悪ければ、いつモネの名称を取り上げられてもおかしくない。
なので、毎日が真剣勝負です。
庭の管理は自然との闘いです。近年気候変動が激しく、悪条件が重なる毎日の中で、折れた枝を剪定し、茎を支柱にまきつけ、池の蓮の葉を整える。
まさに、一心不乱です。
また、次世代のことも見据え、環境問題にも取り組み、減農薬に徹しマメな手入れで病害虫から花草木を守っているそうです。
長年の積み重ねで、今年で2017年絶滅危惧種の青い蜂「ブルービー」が発見されNHKワールドで報道されました。
2019年には、絶滅危惧種8種が自生しているのが確認されました。
8種類ってすごいですよね。いかに管理された環境かがわかりますね。
本家本元のモネの庭
毎年フランスのモネの庭の管理をしている庭師のジルベール・ヴァエ氏。
本家本元のモネの庭はこちら⇒ジヴェルニーモネの庭 公式HP
北川村のモネの庭の紹介動画はこちら⇒モネの庭 モルマッタン
しゅのんの総評
日本の庭園も好きですが、モネの庭が日本にあるなんて!
創り続けて20周年。益々充実してきている庭に足を運んで、癒されてみたいものです。
そして、他の庭園でも忘れてはいけない事。
庭師さんはじめ、いろんな方の努力の賜物だということ。
この贈り物を愛でられる幸せを感じていきたいですね。